吉本大樹:2010年、2011年とこのJAF戦では必ずトップ争いにいるパフォーマンスを持ちながら悔しい思いをしてきました。そしてそれ以上に、このレースがA speedにとって最後のレースとなるので自ずと気合いが入っていましたし、絶対に優勝しかイメージしていませんでした。突如ウエイトハンデを背負わされた影響もあり、思ったほどの速さを見せることはできなかったのですが、ガスを積んでもバランスの変わらないVantage GT3のキャラクターと、持ち込んだタイヤのコンパウンドを考えると決勝に向けては自信もありました。
予選で一樹君(星野選手)が、男前なトライをしてくれたおかげで自分のレース2に向けた予選へのマシンセットの方向性を決めることができました。土曜日の一樹君のレースはいきなりの雨で様々な確認ができなかった為、タイヤ選択を誤り残念なレースになってしまいましたね。僕が土曜日にドライブしていたとしても全く同じ事になってしまったのではないかと思います。自分が走る日曜日のレースでは一樹君のその無念を晴らす責任もあったし、これが本当の本当にA speed最後のレースだったので絶対に勝ちかたった。
Vantage GT3は1速ギアがかなりロングなので、スタンディングスタートには不安がありました。実際スタートで出遅れてしまいポジションを落としましたが、結果的にこのおかげでアクシデントのあった1コーナーでのポジション取りが上手くいったのかもしれません。すぐに911号車をパスすることが出来ましたが、序盤はタイヤのウォームアップが悪かった。それでも数周すると適温に達し、33号車をパスすることができました。すぐ後ろに2号車が迫ってきていたのは知っていたし、レースになれば速い事も分かっていた。ある意味一番恐い敵でした。最後のラップまで一切気の抜けない、ミスはご法度の緊迫した状態でしたが、同時に楽しむ事もできました。短いはずなのに本当に長い22周でした。2012年最後のレースで、そしてA speed最後のレースを最高の締めくくり方で終わることができて本当に良かったです。また自分もお世話になった紫電のラストランを共に表彰台で称え合うことができて良かったです。
これで本当にA speedは解散します。チーム発足初年度からドライバーを務めさせて頂き、ドライバーとしても人としても様々な経験をさせて頂きました。チームのレベルアップにも貢献できたと思うし、トップチームにしていくという意欲を強くもったチームでした。そんなA speedに3年間お世話になったことを誇りに思います。いつも文句ばかり言うドライバーの意見を受け入れ続けてくれた瀬口監督、言葉数は少なくとも黙々とレースを戦い続けた伊藤エンジニアと松本さん、そして居なくなってしまったメカニックもいるけどこの3年間で携わってくれた全てのメカニックの皆さん、そしてドライバーのプライオリティーを尊重し、ドライバーのやりやすい環境を作るように指示し、チームをサポートし続けて下さったtriple a出版の高木社長には心から感謝します。初年度に色々な事を教えてくれたチームメイトの松田選手、そして共に喜び、悲しみ、笑い、怒った最高のチームメイト星野選手。全てが素晴らしい思い出となります。
素晴らしい3年間をありがとうございました。そしてA speedを応援して下さった全ての皆様ありがとうございました。胸を張って卒業します。 |